日々の研究や水処理のアレコレなどを綴ります

返送量の調整

排水処理場でのトラブル相談「粘性増加」について

 2022/09/29   

先日食品加工業のお客様で、沈殿槽の代わりに膜を入れて処理しているお客様からご相談がありました。

「粘性が増加し膜処理の水量が減少し、膜洗浄を2回/月も行っている(通常は5~6か月/回)。何とか粘性を低下させる方法がないか?」
とのご相談でした。

原因を考えてみると、以下によることが推測できます。

季節の変わり目、排水処理場の微生物も変わり目となります。

①まずは夏から秋へと商品変更があります。(例:鍋物が多くなり練り製品が多くなるなど)

それによってBOD、COD、油分などの負荷が高くなることが多くなります。

②水温の変化→秋になることで水温が低下します。

それによって微生物の活性が低下しやすくなります。

③ ▼①②の結果によりフロック分散

▼糸状菌が増加

粘性が増加 → 沈降性不良 → 膜処理の場合は処理能力低下(水量低下)
※沈殿槽の場合は最悪は汚泥流出となります。

顕微鏡観察をすると、やはり糸状菌が多くなり粘性バルキング状態でした。

▼糸状菌が多く、粘性バルキング状態

また油分の負荷も増加し空気不足となり生物相も嫌気気味となっていました。
▼桿菌・球菌が増加している状態

 

【対策:糸状菌を減少させる方法】

①空気量増量

②phの適正値への調整

③油脂分解剤の添加

④微生物活性の栄養剤の添加

⑤返送量の調整

2週間後には粘性低下 260cp → 120cp

大きな汚泥フロック形成 → 糸状菌弱体化

となりました。

適性な対策を行うと1~2週間で改善致します。

 

排水処理場でお困りの症状がございましたら、ご相談ください。対策方法をご提案いたします。

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