日々の研究や水処理のアレコレなどを綴ります

澤本享宏の記事一覧

曝気槽の泡対策の改善結果と効果的だった資剤

 2023/12/08   

こんにちは。澤本享宏です。

先日、弊社ウェブサイトからお問い合わせをいただいたお客様のところへ訪問してきました。

お問い合わせの内容は「曝気槽の泡がすごいので何とかしたい」というご相談でした。
お電話にて詳細をうかがうと、「泡がひどいときには曝気槽からあふれるほど発生する」とのことでした。

実際に現場に訪問した時には、当ブログ「曝気槽の泡」記事と同様の、ムース上の泡が発生していました。

▼曝気槽にムース状の泡が発生している様子

曝気槽のムース状の泡
気槽のムース状の泡

放線菌

▼分散汚泥フロック
分散汚泥フロック
▼放線菌汚泥
放線菌汚泥



やはり放線菌の繁殖が原因でした。
放線菌汚泥もできており、フロックも分散していました。

放線菌は油分(動植物油)が多いときに発生します。

また放線菌がミコール酸(油脂分)を出しムース状の発泡となります。

沈殿槽の水面にも増加し透視度が悪くなり、沈降性も悪化します。

今回の事象での弊社の対策は、以下の3点を重点的に対策いたしました。

①ph
②油脂分解
③C/Nバランス調整

曝気槽内環境を変えるだけで放線菌は減少します。それに伴い、泡も減少します。

上記の対策の油脂分解剤で使用したのはSANA-油トールBです。
澤本商事オリジナル特注品の、油脂分解の前処理剤です。
曝気槽のn-Hex減少の効果があります。
グリストラップから大規模排水処理場まで、対応可能です。

▼SANA-油トールB

C/Nバランス調整に使用したのはSANA-N改1-SWです。
油脂や粘質が多い原水で曝気槽に粘性が発生したときや、BOD負荷が高い場合の栄養バランス調整剤です。

▼SANA-N改1-SW

これらを投入した2週間後には泡も減少し、放線菌もいなくなっていました。
▼改善後の曝気槽の様子



上記のように油脂分解には油トールBは効果てきめんです。

排水処理場の困りごとは待ったなし!
すぐに駆けつけ、現場調査、水質検査、ラボテストまでを無料でさせていただきます。
お気軽にお問い合わせください。

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「天城抗火石散水ろ床方式」採用の新設排水処理施設完成

 2023/11/21   

こんにちは。澤本享宏です。

7月から工事していた弊社独自の「天城抗火石散水ろ床方式」を採用した、新設の排水処理施設が10月初旬に完成しました。

今回は地元石川県の乳業屋さんの工場新設に伴い、排水処理施設も新設することになりました。
その乳業屋さんの排水の詳細を紹介いたします。

計画水量:400㎥/D

BOD濃度:1000ppm

SS濃度:150ppm

COD濃度:240ppm

上記の数値をもとに以下の内容で設計いたしました。

散水ろ床槽:1槽あたり17㎥×4槽

循環槽:75㎥×4槽

散水ろ床法式を使うことで、BODは99%除去することが可能です。

また廃水中には、年々多糖類の流入が増しています。
多糖類の分解は限られた生物低分子時は糸状菌、高分子時は放線菌が優先種になる場合があります。

そこで弊社の散水ろ床で使う抗火石から溶出するSiO4(オルト珪酸)を利用する事により、この問題は解決可能です。

「天城抗火石散水ろ床方式」は環境省のETV事業でも実証されており、排水処理プラントの性能の実証実験を行った際には、次のことが実証されています。

  • 散水ろ床槽によるBODの濃度減少率は、定期試験で平均94.5%、日間水質水質試験で、夏季平均92.3%、冬季平均 91.7%であった。 また 、CODの濃度減少率は、定期試験で平均 85.1%、日間水質試験で夏季平均 80.3%、冬季平均 89.3%であった。
  • 放流水質濃度では、BOD、SSに おいて定期試験、日間水質試験ともに実証する性能を満たし、CODでは 冬季の定期試験を除き 概ね実証する性能を満たした。
  • 夏場の臭気もなく、冬場の気温が低下しても安定的な処理能力が実証された。

実証実験の詳細は弊社のウェブサイトをご覧ください。
環境省ETV実証事業「天城抗火石散水ろ床法」詳細はこちら

今回の新設工事を行ったお客様も、前工場では糸状菌・放線菌などが多く排水の安定化が出来ず悩んでいらっしゃいました。
糸状菌や放線菌はもちろん、水量・BOD・ノルヘキなどの負荷が増加し前処理を検討している等のお悩みがあり、処理方法をご検討されているのであれば、是非ご相談ください。

すぐに駆けつけ、現場でのお打ち合わせや負荷計算等行い、改善策をご提案させていただきます。

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研修と現場で学ぶ「汚泥の返送濃度と滞留時間」の重要性

 2023/05/22   

こんにちは。新入社員の澤本享宏です。

連休前にはなりますが、弊社が代理店をしている(株)SANAに研修を受けに行ってまいりました。
今回が3回目で最後の研修となりました。

今回の研修では改めて基礎的なことを、復習も兼ねてご教授いただきました。
特筆すべきは「汚泥の返送率と汚泥の滞留時間」についてです。

まず、沈殿槽から曝気槽に返す汚泥返送率は通常処理量と同じ量、つまり100%です。
その理由は原水が毎日入ってくるので、返送率が100%以下だと処理が進まないからです

ただ、上記はセオリーでお客様の状況によって返送率は違います。

例えば、高負荷なら返送率を150%にして一気に処理するところもあります。
逆に低負荷なら返送率を低くすることもあります。

次に、上記にもつながるのですが、沈殿槽にある汚泥の滞留時間に関してです。
沈殿槽の汚泥の滞留時間は3~4時間が基本となります。特に夏場であれば腐敗しやすいので3時間が適切です。

多くの学びがあったこの研修後、実際に滞留時間が7~8時間になっている沈殿槽の現場におうかがいする機会がありました。
その現場は滞留時間が長すぎ、汚泥が沈殿槽で腐敗していました。

滞留時間がいかに大切かということを、研修と現場で学びました。

弊社ではお客様の工場、事業所にすぐに駆けつけ、現場調査、水質検査、ラボテストまでを無料でさせていただきます。
排水処理、油脂処理、臭気処理でお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

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調整槽や原水槽の臭気を速攻で解消した「スメロンラックDL」

 2023/04/25   

こんにちは。新入社員の澤本享宏です。

先日、兵庫県のとある食品加工会社さんに訪問してきました。
「調整槽からの臭気発生に困っている」とのことで、現地に訪問したときは、工場内に硫化水素のような臭気が広がっていました。

そこで、SANAの強力な消臭剤「スメロンラックDL」をご提案させていただきました。

 

上記を添加後、「5分ほどで臭いが消えました」と嬉しいお声をいただきました。

 

産業排水処理施設で悪臭が発生すると、様々なリスクがあります。施設内の人材や近隣住民のためにも、悪臭は即時解消が望ましいです。
弊社では産業排水施設の能力診断や原水の状態検査などを行い、最適な処理剤をご提案いたします。
また適正な臭気処理が持続的にできるよう、排水処理施設の運転管理もサポートいたします。

水質・臭気検査、ラボテスト、お見積りまで無料でさせていただきますので、臭気対策でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

▼産業排水処理場の原水・汚泥の分析、微生物観察、資剤の提案の流れ

 

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また、お電話でもご相談を承っておりますので、お急ぎの方は076-252-5507までご連絡ください。

出張で学んだ、排水処理施設の運転管理の重要性!

 2023/04/17   

こんにちは!
3月から入社した澤本享宏です。
入社してから排水処理の現場に足を運び、早く1人で回れるように奮闘しています。

先週の4月5日~7日で2泊3日の出張にいってきました。
1日目は滋賀県・愛知県、2・3日目は静岡県を回りました。

今回印象的だったことが排水処理施設の運転管理に関してです。
愛知県のお客様先に伺ったときのことです。
こちらは出張の前週にも訪問しており、その時は最終の曝気槽が嫌気性になっていました。
その際に、弊社社長が空気量の調整方法をアドバイスしたことで、今回、最終曝気槽内の糸状菌も減り、好気性になっていました。

また、静岡県のお客様でも排水処理の運転管理アドバイスによって糸状菌が弱くなり、処理が進み改善されていました。

排水処理は、微生物をいかに活性化させるかが鍵で、その一つとして運転管理も重要なのだと感じました。

弊社ではお客様の工場、事業所にすぐに駆けつけ、現場調査、水質検査、ラボテストまでを無料でさせていただきます。
糸状菌でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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