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クロムと色の意外な関係❓

クロムと色の意外な関係❓

 2025/01/31   

こんにちは! 今日は分析室より、以前投稿した【pHの世界 vol.1】pHと色の続編をお届けしたいと思います。
前回vol.1では、「pHと色」をテーマに、エリオクロムブラックT(EBT)やポリフェノールの一種であるアントシアニンが示す色の変化についてお話ししました。
まだご覧になっていない方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

【pHの世界 vol.1】pHと色

今日は本来なら【pHの世界 vol.2】をお届けするところでしたが、今回は番外編としてメインテーマであるpHから少し寄り道して前回の内容を少し掘り下げたいと思います。
前回登場した「エリオクロムブラックT(EBT)」の名前に隠された秘密を探りながら、「クロム」という元素にまつわる不思議な世界をご案内します。

原子番号24の金属元素「クロム(Cr)」

クロム(Cr)という元素をご存じでしょうか? 硬くて光沢があり、美しい見た目を持つだけでなく、表面に目に見えない薄い酸化被膜が形成(不働態化と呼ばれます : 不動態 – Wikipedia )されるため、非常に錆びにくい性質を持っています。

この性質を利用して、クロムはさまざまな用途に使われています。
たとえば、キッチンのシンクや包丁に使われるステンレス鋼(SUS)。
また、水道の蛇口などもクロムメッキによるものがほとんどです。
他にも、身の回りの革製品の多くは鞣し(なめし:動物の皮をバッグや靴などに使える「革」にする工程)にクロムが使われています(クロム鞣し)。
こうして見てみると、クロムはさまざまな形で私たちの生活に密接に関わり、欠かせない役割を果たしていることが分かりますね!

「クロム」の意味、由来

ここで前回登場した「エリオクロムブラックT(EBT)」を思い出してみましょう。名前には「クロム」が含まれていますが、意外なことに(?)実際はクロム元素(Cr)を含むわけではありません。
ちょっと不思議だと思いませんか?
命名の由来について明確な記録は残されていないのですが、羊毛の染色に用いられてきたことから古代ギリシャ語における羊毛εἔριον(érion)と色χρῶμα(khróma, chroma)に由来するものと思われます。
実は、元素のクロム(Cr)もこのχρῶμα(色)から命名されました。
他にもこのχρῶμαに因む語はいくつも見つけることができます。

クロマトグラフィー(英: chromatography)は、ロシアの植物学者ミハイル・ツヴェットが発明した、物質を分離・精製する技法[1]。物質の大きさ・吸着力・電荷・質量・疎水性などの違いを利用して、物質を成分ごとに分離する[1]。

クロマトグラフィーは色(ギリシャ語で chrōma)を分けるといった意味合いを持つ。

クロマトグラフィー – Wikipedia

染色体(せんしょくたい)は、遺伝情報の発現と伝達を担う生体物質である。塩基性の色素でよく染色されることから、1888年にヴィルヘルム・フォン・ヴァルダイヤー(ワルダイエル、Heinrich Wilhelm Gottfried von Waldeyer-Hartz)によって Chromosom と名づけられた(英語では chromosome)。Chromo- はギリシア語 χρῶμα (chroma)「色、色素」に、-some は同じく σῶμα (soma)「体」に由来する。

染色体 – Wikipedia

モノクローム (英: monochrome) は、単一の色で図画などを描くこと、またはその図画自体を指す[1]。語源はフランス語で「単色」を意味する言葉で、元々は美術の分野で使われた言葉であった[1]。これから転じて印刷・写真・映画・テレビの分野でも、主に白黒のみで表現するものをモノクローム(あるいは略して「モノクロ」)と呼ぶようになった[1]。

モノクローム – Wikipedia

半音階(はんおんかい、クロマティック・スケール 英語: chromatic scale)とは、隣り合う音の音程関係がすべて半音で構成されるような音階。

半音階 – Wikipedia

色彩豊かな表現というニュアンスが音楽の世界にまで広がっているのは興味深いですね。

GeminiのImagen 3で生成した「 chromatic scale fish 」のイメージ

ところで、あなたがこの記事を閲覧するのに使っているブラウザはもしかして「Google Chrome (クローム)」ではありませんか?(違ったらごめんなさい🙇)
WebブラウザのChromeも、その由来をたどると、開発の元になっているソフトウェアがChromiumという名前でこれはまさに元素のクロム(Cr)のラテン語での呼び名です。

Google Chromeのロゴ
※ Google Chrome™ はGoogle LLCの商標です。

Chromeのロゴも赤・黄・緑・青と、とてもカラフルな配色になっていますね。
これは、Googleのブランドカラーを反映したものですが、興味深いことに クロム(Cr)の化合物もまた、赤、青、緑、黄色など多彩な色を示すことで知られています。
非常に色彩豊かで、まさに「色」の名にふさわしい元素と言えるでしょう。次回は実際にクロムが織りなす色鮮やかな世界をご紹介していきたいとおもいます。お楽しみに!

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